どんな治療方法も天然の歯に勝るものはない
外科処置を行うときはしっかりとした診査、診断のもとインフォームドコンセントを行い納得していただいて同意書などにサインをしていただきます。
どうしても抜歯が必要な場合、インプラントが良い方法だというのは何処の歯科でも説明を受けます
しかし、本来であればインプラントに勝るのはご自身の歯なはずです。
歯牙移植はご自身のいらない歯(親知らずなど)を抜いた歯の場所に移植する治療方法です。
奥歯が無くなってしまっても親知らずを移植することで咀嚼能力をあげることが可能です。
極端な話、4本の奥歯が無い方でも4本の親知らずがあれば親知らずをそのまま奥歯に移植できるかもしれません。
また、お子様で先天的に歯が少ない場合でも歯牙移植と矯正治療で、正常な歯列を回復することも可能です。
乳歯から永久歯に生え変わり、永久歯の形成が完了する前であれば歯牙移植をしても神経や血管までもが残せる可能性が大いにあるのです。
歯の移植ができる場合
親知らずがある方で歯が折れたり、虫歯で奥歯を抜かなかればならない場合に歯牙移植ができる可能性があります。
また先天的に永久歯が少なく、隙間が多く空いていたり、乳歯が悪い状態で成長期を過ぎても残っている場合は矯正治療を併用しながら歯牙移植ができる可能性があります。
この場合は矯正治療で余分、過剰と診断された中間の歯を足りない箇所へ移植します。
多くは前歯や小臼歯が対象で、自分の歯できちんとした歯並びと機能を回復できる可能性があります。
子供だけではなく成人も対象となります。
歯牙移植は歴史のある治療です。
虫歯に侵された奥歯や、外傷により抜けた歯牙の再植、歯根の病気を持つ歯を一度抜歯し根に処置を施し再度同じ場所に埋め戻すなどがされてきました。
歯牙移植のメリット
天然歯とインプラントの決定的違いは歯の根元を覆う組織である歯根膜があるかどうかです。
天然歯は歯根膜から血液循環させ、細菌に対する天然の防御機能を働かせることが可能です。
また天然の歯は口内の環境によって柔軟に形や位置を変えながら生体の変化に対応しますが、インプラントはそれができません。
また、歯根膜は感覚があって圧力を感じます。
食べ物の歯触りが大きく違います。
個人差はありますが、インプラントではわかりにくい繊細な食感や、歯触りを天然歯では楽しむことが可能です。
以上のことが当院が考える自家歯牙移植がインプラントを上回っている理由です。
歯牙移植のタイミング
歯の移植のタイミングは
1.抜歯後すぐ
2.抜歯後なるべくはやく
3.抜歯後、良いタイミングで
の3パターンがあります。
歯牙移植は悪い歯を抜歯してすぐに移植する歯の抜歯を同時におこなった(即時型移植)方が治癒に有利です。
歯根膜が生きて存在した方が有利であり、多少悪い状態の歯でもその歯を抜けば抜いた穴の側壁には歯根膜が少なからず残るからです。
しかし次のような場では抜歯後しばらくしてから移植を行ったほうがよい場合があります。
移植歯と抜いた歯のサイズに大きな差がある場合
サイズが大きく異なる場合は、抜かなければならない歯を先に抜きし、4〜6週以上歯肉の治りを待ってから移植をします。
葉を抜いた場所に細菌の温床が存在する場合
病変や細菌感染がひどい場合はある程度骨が治ってきた時期を見極め対応します。
自家歯牙移植治療の流れ
- 1歯牙移植の適応か否かの診断
- ・問診とカウンセリング
・口腔内診査、歯周組織精密検査、歯科用CT撮影
・噛み合わせの診査
・口腔内写真撮影
・ブラッシング指導
・歯石除去
・歯面清掃
以上を踏まえて診断します。
順調に行けばその日のうちに治療計画を立てれます。
ご承諾がいただければ次回は手術です。
- 2自歯牙移植手術
- 手術時間は約90分ですが、鎮静麻酔併用する場合は90分~150分かかることもあります。 ※少しでも楽に安全に処置がしたい場合は鎮静麻酔の併用をおすすめ致します。
- 3消毒と抜糸
- 手術より約2週間後、基本的に移植歯の根管治療をします。 手術から1〜2ヵ月で噛み合わせを調整します。 手術から2〜3ヵ月で最終的な詰め物、被せ物をお入れします。
- 4再評価
- 術部の治癒の状態を検査し、メインテナンスを含めた今後の対応を検討致します。
患者様にして頂く手術後管理
手術前
体調管理を万全にしてください。 前日からお酒と煙草は控えてください。
手術後1~3日
患部の出血を避けるために必要以上のうがいは避け、歯ブラシは患部以外にしてもしないで下さい。 微量の出血がありますが貯まった血や唾液は極力うがいせずに吐き出して下さい。 歯間ブラシは禁止です。
手術当日から翌日での食事
手術前は飲食が制限されます。 手術後の食事は流動的なもの、ゼリーのような噛まなくて済むものが好ましいでしょう。 2日目くらいから少しづつ固形物が食べれます。
術後2~4週
消毒液による洗口と、超軟毛歯ブラシの使用を開始します。 術後1か月 普通の歯ブラシ・デンタルフロスの使用を開始。